兄への思い

第二章 各地訪問

その3 ヴェルジェ〜グラムの森編

ヴェルジェから引き返す途中、エステルが相当怒っているのを心配したサーシャはエステルになんで怒ってるのかを聞いたところ、次のような答えが返ってきた。

アーキスはクライスを誘って酒場へ向かったという。しかし酒場の女と長く話しすぎたためにホームズたちが引き返すことになったことにしばらく気づかなかった。そのことに慌てて気づいたクライスはアーキスに対して俺の身にもなってくれと言い、ホームズたちのもとへ急いだのだが、その最中、買い物をしていた女性をアーキスがうっかり突き飛ばしてしまったのだ。しかもアーキスがその女性に対してあたかも自分がぶつけられたような言い方をしたという。これにはクライスも怒ったようである。エステルはアーキスがクライスや買い物をしていた女性に迷惑をかけたことに怒っていたのだ。

この話を聞き、まあ、それじゃエステルが怒るのも当たり前かとサーシャは思った。

ちなみに、その女性の名前はレティーナと言い、クライスはレティーナの落し物を家に届けて以降、レティーナが好きになり、(顔を赤くしていたのはこのため)リーベリア大陸に上陸してからも何度かホームズにヴェルジェに引き返す許可を受け、レティーナに会いに行こうとしている。結局2人はウエルト国内では再び出会うことはなかったがサリアの村でクライスがリュナン軍に編入され、ラゼリアへ向かう途中のハルファ砦で出会うことになる。

そしてグラムの森へ到着したホームズ一行。そこでサーシャは、ホームズとシゲンの話を耳にし、森に隠れて聞くことにした。
シゲンが「ゼノが両親を探している」と言ったのに対しホームズは「そんなもの探してどうする」との会話から始まり、シゲンの両親が古ゾーア人であるという話をサーシャは黙って聞いていた。
しかし次のホームズの「お前はお前だからよ。両親なんてクソクラエだ!」との発言にサーシャはやっぱりカトリちゃんの言うとおりだったわとがっかりしたが、次の会話でホームズの態度が一変したことでサーシャの心境は変化した。シゲンに「お前も歪んでるよな。母親に捨てられたのが相当悔しいのか」と言われたホームズが「それは幼い時の話だ。今では哀れな母親だと思っている。よくあんないいかげんな親父に5年も辛抱できたものだ」と返したことにサーシャは、ホームズにもそんな優しい心があったんだと感心した。そしてホームズの母が三歳の時に出て行ったことと、その母が幸せならそれで良いと改めて聞いていたサーシャは、ホームズにそんな優しい心があるなら話しても大丈夫だと思い、自分から話し掛ける決心を固めた。

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