その4 グラムの森〜ウエルト大橋編
そしてグラムの森から出発しようとしたホームズ一行であったが、ロジャーとメルがマルス神殿へ向かわせてほしいと頼んだため、急遽マルス神殿へ向かうこととなった。しかしここは一度ガーゼル軍に襲われており、2人だけでいくのは危険だと判断したホームズたちは一緒についていくこととなった。
そして一行が神殿に到着したとき、神殿は無事であった。そこでメルは母親のシルフィーゼとの再会を果たしたのだ。2人が神殿へ行くよう頼んだのは、このためだったのだ。
それを見ていたサーシャは、やはり両親はいいものだなと感じた。
そしてマルス神殿を出て一気にウエルト大橋にたどりついたホームズ一行。一気に行ったので疲れたホームズは少し休息をとることにした。そこでホームズが橋の付近で座っているのを見たサーシャは、思い切って声をかけた。
「ホームズ、ちょっといい?」
それに気づいたホームズは、相変わらずの返事をした。
「なんだ、サーシャか。俺は忙しい。ガキの相手をしている暇はねえな」
しかし、シゲンの話を覚えていたサーシャは動揺することなく明るい表情のまま話した。
「ふふっ、そう言うと思った。最初の頃は、本気だと思って泣いた事もあったけどシゲンが、あれはホームズの挨拶みたいなものだから気にするなって教えてくれたわ。」
そういって、サーシャはにこりと笑った。
これに困り果てたホームズは・・。
「ぐちゃぐちゃと、うるさい姫様だ。ンで、俺に何の用なんだ?」
対応に困ったホームズは、こう言ってついに話に応じたのだ。
それに喜んだサーシャは、ホームズと出会った時から気になっていたことを話すことにした。
「ずっと前から気になっていたのだけど、ホームズが首につけてるペンダント、ちょっと見せてくれない?」
それに驚いたホームズは、
「バカを言え!これは誰にも見せられねえ」
と強く断ったがそれでもサーシャは
「えー、どうしてなの?」
と言い強く見たがったのだ。
そこでなぜ見たいのかサーシャの真意を尋ねることにしたホームズ。だが、その質問の答えにホームズの気持ちは一変することになる。
ホームズはこう尋ねた。
「お前には関係ねえだろ。第一、なんでこんなもん見たがるんだ?」
それに対するサーシャの答えは・・。
「そのペンダントに見覚えがあるの。どこで見たのかは思い出せないけど同じものを見た記憶があるの」
この答えにまさかと思ったホームズは、急に口調を変えた。
「おい、本当なのか!どこで見たんだ!思い出せ!
今すぐ思い出せ!」
これにはさすがのサーシャも
「そう言われても……。もっとよく見せてもらえれば思い出すかも知れないわ……」
といいホームズに冷静になるよう促すしかなかった。
そして冷静になったホームズは
「ほらよっ!見せてやるからさっさと思い出せ」
といってペンダントをサーシャに渡し、サーシャが思い出すのを待つことにした。
そして・・。
「ありがとう……ふーん。……あっ!……これは……」
このサーシャの反応を見たホームズは期待して、
「お、思い出したのか!?」
と思わず叫んだが、
サーシャは「ヒスイね……。かなり高価なものだわ……」と言い、ホームズの期待は裏切られた。
「おい、俺をからかっているのか?」
サーシャはそんな気持ちはなく、正直にホームズにこういった。
「ごめんなさい、やっぱり思い出せない。喉元まで出かかっているんだけど……」
そういわれては言い返せず、疲れがたまっていく一方のホームズは「いいよ、もう、俺は疲れた……」と疲労困憊であった。
しかしサーシャはこの会話を楽しんでいるかのように、こう言ったのだ。
「私は楽しかったわ。私ね、小さい頃からお兄様が欲しかったの。強くて優しくて楽しいホームズみたいなお兄様……」
そう言われたホームズは
「俺はお前みたいな妹はいらねえ。うるさくって仕方ねえからな」と渋い表情で言葉を返した。
そしてサーシャは満足したのか
「はいはい、じゃあね、ホームズ。そのペンダントのこと頑張って思い出すからねっ」
と、最後まで笑顔でホームズとの会話を終え、去っていったのだ。ホームズは、少々困ったような表情で去るサーシャを見つめていた。