その3
数時間後、ホームズ一行は無事マルスの港にたどり着いた。
しかしアジトの見張りが多数いたことでいきなり攻めるのは危険だと判断したホームズは、サーシャとマーテルに偵察をさせることにした。
「2人でアジトの様子を見に行ってくれ。くれぐれも海賊たちに見つかるなよ。では、頼むぜ。」
そういって、サーシャの肩を軽くたたき、出発を促した。
それに対しサーシャは、こういう役目を与えられて相当うれしかったらしく、心からの笑顔を見せ、「ええ、行ってくるわ。」と言って出発した。
そしてアジトの上空にて。
サーシャは下を見ていたが、海賊たちのアジトに一人の少年が走っていくのに気づきマーテルに声をかけた。
「マーテル姉さま、あれを見て。様子が変じゃない?」
声をかけられて下を見たマーテルも、異変に気づいた。
「ええ、確かにおかしいわ。でも、とりあえず様子を見ましょう。」
マーテルがそう言った直後、アジトへ走っていった少年がその海賊のボスらしき人物に対して言い争い始めた。
「メルヘン!姉さんを返せ!お前たちのところにいるのはわかっているんだ!」
「姉さんだと?ああ、あの女のことか。おい、レネ。こいつはお前の弟なのか?」
少年と言い争い始めたメルヘンは、頭に白い鉢巻を巻き、口の下にひげを垂らし、毛皮のようなものを身にまとい、顔は見るからに悪人のような顔をしていた。
そのメルヘンという海賊のボスの顔を見たサーシャは、
「こんな顔じゃあ、ホームズも覚えたくなくなるのも仕方ないわね。」とつぶやき、それにマーテルもうなずいた。
そこに、少年の姉らしき人物がメルヘンに連れられて現れたが、その女性−レネは、少年がいることに驚いた様子だった。
「アトロム!?どうしてこんなところに・・?」
その少年−アトロムは、姉が無事だったことに安堵していた。
「探してたんだ。姉さんがいなくなってからずっと・・。でもよかった・・。やっと・・やっと見つけた・・。」
しかしメルヘンは当然のことながら、アトロムの要求に応じず、
「けっ、なんだか知らねえがこいつを返すつもりはねえぜ!ガキはさっさと帰んな!」
と言い一蹴した。
その様子を見たサーシャは、
「ひっどーい!なんて考えをしてるのかしら。」と怒ったが、マーテルは
「でも、これが海賊たちにとっては当たり前なのよ。」
と冷静に言った。
一方、アジトではメルヘンの態度にアトロムは激昂し、
「そうはいかない!」
と剣を抜いた。それにメルヘンも応戦し、
「おい、剣を抜いてどうしようってんだ。俺たちとやろうってのか。」
と言ったが、レネはアトロムが死ぬのを見たくないためにアトロムの説得を試み、
「アトロム、やめて!あなたが殺されてしまう!」
と言った。
この一部始終を見ていたサーシャは、
「姉さま、どうする?まだ様子を見るつもりなの?」とマーテルの考えを聞くことにした。それは、アトロムが危ないのではないかと考えたからである。しかしマーテルは、
「まだアトロムが危ないと決まったわけじゃないわ。それにホームズからは海賊に見つからないように言われてるでしょう?」
と言い、まだ様子を見ることにすべきと言ったため、サーシャもこれに従った。だが、すぐに状況は一変することになる。
「僕の命に代えても姉さんは返してもらう!」
「ふんっ。おい、てめえら、このガキをやっちまえ!俺は女を連れて館に戻るからな。」
部下が「へい・・。」と言うと、メルヘンはレネをつれて館の中に戻っていった。そして部下は一斉に武器を構えた。
これを見たサーシャはアトロムが本気で危ないとマーテルを説得。そこで、サーシャがアトロムを助けることにし、マーテルは
ホームズたちに救援を大至急頼むことになった。