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ラフィンが紹介してくれたのは、オレンジ色の髪と瞳をしたとても美しい女騎士だった。
そして見上げるような巨漢の騎士。
二人ともバージェの出身らしい。すなわちラフィンと同郷だ。
ラフィン達が思い出話を始めたので、
(昔馴染みに会えて……良かったわね、ラフィン)
サーシャは心の中で祝福して、そっとその場を離れた。
(積もる話もあるでしょうから……)
彼らに遠慮して、気を利かせたつもりだった。
ラフィンがバージェのことを口にするたびに、遠くを見るような寂しげな目つきをいつもしていたことを、サーシャは思い出した。
その後も宴ではいろいろあった。
ケイトとノートンの口喧嘩をハラハラしながら見守ったり、再びワインに手を出そうとしたところをケイトに見つかって叱られたり──
夜も更け、そろそろ眠くなってきた。
人々は相当酔っているようで、年若い少女には刺激の強すぎる冗談を大声で喋っている。あまり上品とは言えぬ雰囲気になりつつあり、王女はちょっと居たたまれない気分になった。
(うーん、中座させていただこうかしら)
リュナンやセネー市長に挨拶をしようと思ったが、彼らは話し込んでいたので
(ケイトは……いないわね。ジークのところかしら?)
忠実な守役の女騎士は最近恋をしているみたいなのだ。
(ノートン伍長は……あらあら……)
ウエルト王宮を守護する重騎士は複数の騎士たちと酒の飲み比べをしている。何だかとても必死な表情で、割って入れそうな雰囲気ではなかった。
(うーん、他には……あら?)
ラフィンの姿が目に入った。
声をかけようとしたが、何か考え込んでいる様子で、サーシャには気づいてないようだ。
ラフィンは今までサーシャの見たことのない複雑な表情を浮かべていた。
(……ラフィン?)
胸騒ぎがした。
(喧嘩でも……したの?)
サーシャは不安になった。先刻紹介された美女の姿が見えなかったからだ。
(もう一人の……男の人はいるのに……)
この数年、ラフィンはウエルト王国のためにずっと尽くしてくれた。勢い、彼が王国の外に出る機会はほとんど無かった。そのことが原因で口論になったのかも知れない。『帝国に占領された故郷のことを忘れてしまったのか』と。
(でも、それは……ラフィンのせいではないのに)
彼は帝国から指名手配されており、リーヴェ河を越えることすらできなかったのだ。
声をかけそびれているうちにラフィンは会場を出ていった。
(ラフィン……どうするつもりなの?)
胸がチクチクと痛んだ。
もしさっきの自分の予想が当たっているなら、彼がかわいそうだと思ったからだ。不可抗力の出来事が原因で責められることほど辛いものはない。
(だから……あの女の人に弁解しに行くのかな? 『自分は
彼の広くて大きな背中を見つめながら、
(あの人と仲直り……できるといいね)
サーシャは心の中でエールを送った。
この前後の文章は次の台詞を参考にしております。